雇用契約の重要性

外国人社員を雇用する場合には、労働条件を巡り、トラブルが発生しないよう賃金、労働時間、休日等の主要な労働条件を明記した書面を交付し、理解してもらうことが重要です。
日本人の雇用と同様に外国人の雇用であっても労働条件の明示が義務づけられている以下の事項を書面にて交付する必要があります。

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所、従事すべき業務
  3. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換
  4. 賃金、計算及び支払方法、賃金の締切日、支払の時期、昇給に関する事項
  5. 退職に関する事項

また外国人雇用に特有のビザ手続きもあり、在留資格(ビザ)を取得又は変更する必要がある場合には、上記事項の労働契約の期間を定める時に、但し書として“この契約書は当社に就労可能な在留資格許可を条件とし、就労が認められない場合には無効とする”などの取り決めをしておいた方がよいでしょう。

さらに日本人・外国人を問わず、労働者を雇い入れる場合には労働災害を防止するための機械設備等の安全対策を施すとともに、適切な安全衛生教育の実施が重要となります。
特に外国人従業員に対する安全衛生教育は、本人が理解できる言語を使用し、写真、イラスト等を用いて説明するなど、その内容を十分に理解できる方法によって行う必要があります。

そして外国人労働者に対しても日本人と同様に、その提示した労働条件や会社の就業規則及び労使協定の内容について周知し理解させてはじめて有効なものとなります。
そのため、労働条件通知書や就業規則等などを日本語で作成しても十分に理解できない場合には、その部分を抜粋し母国語で作成し直すなどの周知努力が必要です。

ちなみに労働条件通知書は、厚生労働省にて英語他に5ヶ国語(ポルトガル語、スペイン語、中国語、ハングル、タガログ語)に対応したの労働条件通知書が用意されています。
外国人に関する労働条件を決定するときは、日本の労働関係法規の遵守はもちろんのこと、当該外国人労働者に十分に理解される内容でなければ、後になってトラブルのもととなりますので、本人にとって理解できる言語での労働条件通知書の提示が重要となります。